漫画雑誌の同人誌「朱譚」編集部の方から、拙同人誌の掲載許可のご依頼をいただいたのは数カ月前のことでした。掲載頁のPDFを送っていただいたのですが、喫茶店の歴史をまとめた内容に興味をそそられ全文を拝見したくなりました。本ができたら購入したい旨をお伝えしたところ、わざわざご恵送いただいたので、有難く拝読しました。
漫画雑誌「朱譚」は一つのテーマで漫画作家の方々に寄稿いただく形式の同人誌で、第3号は喫茶特集として、喫茶をテーマとした17作品が収載されています。漫画が中心ですが、先述した喫茶店の歴史やフローチャート、詩なども掲載されています。巻末には漫画作家10名と編集部6名の紹介があったので驚きました。同人誌は大体1人か2人で作っているという思い込みをもっていたので。巻末のプロフィールを拝見すると年齢層もキャリアも様々な方々によって作られていることがわかるのですが、通読すると不思議な一体感がありました。喫茶店でこういう経験をしたことがあるな、とか、こんな会話をしている風景を見たことがあるな、という日常に近い内容から、日常を少し逸脱した空想の世界まで、さまざまです。
漫画作品のいくつかは大阪や京都などに存在する(した)喫茶店の内装を漫画に取り入れています。ストーリーはフィクションでも背景はリアル。創作者からの目線で描かれた背景やアングルは新鮮で、内装のこのあたりがお気に入りポイントなのかなあ、などと思ったり。ですが、どの漫画作品でも主題としているのは喫茶店を舞台に広がる人間模様です。喫茶店の本や雑誌の特集、SNSの投稿に見られる表層的な画像―――ナポリタン、パフェ、クリームソーダ、サイフォン、コーヒーミルなどの什器などは意外にもほとんど登場しません。「あなたにとって喫茶店というのはどんな場所か?」という簡単なようで難しい問いに対する答え(考え方)が一つ一つの作品に織り込まれているようです。掲載作品の中に4本も「僕たちは喫茶店の顔を知らない」(1作品のみ「俺たちは(以下同)・・・」)という同タイトルの作品があるのは、そういうことなんじゃないかなと邪推しています。
読んでいたら喫茶店に行きたくなりました。できれば、顔を覚えられている喫茶店へ。
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