純喫茶ビジネス

突然ですが、以前、自分の過去ブログの投稿を以下に再掲します。2013年4月26日のブログ、「純喫茶ビジネス」より。

そういう名前の喫茶店のことではありません。昔ながらの喫茶店に興味を持つ人口が一定層に達し、日本全国各地の純喫茶情報が商品価値あるものになってきたようだ、という話題です。
 喫茶店だけではなく、昭和50、60年代はもとより、70、80年代の雰囲気を残す建築物、家具、電化製品、衣服、その時代の雑誌など、あらゆる文化・風俗において言えるのでしょうが、喫茶店も例外ではないようで、関連した単行本が今年も出版されるようです。私のしょぼい情報収集でも2冊出るらしいことを最近知りました。そのほか、雑誌やTVでも時々特集が組まれているし、水面下では様々な企画が上がっているのかもしれませんね。

 1冊は、泉麻人さんの平凡社ウェブマガジンに掲載されていた「東京ふつうの喫茶店」の続編。こちらは公式ホームページに連載終了と単行本化のお知らせが載っていました。
 書名にわざわざ「ふつう」と挙げてあるように、以前出版された第一弾では、豪華絢爛で個性的な内装の喫茶店を好んで取り上げているわけではなく、従来の喫茶店の役割―寛ぎ、憩い、その町のサロン的な場所として機能している居心地のよい店について取材しているように思われます。
 もう1冊は、某ブロガーさんの日本全国各地喫茶店めぐりの本。こちらはとある喫茶店の店主さんから、ブログのことと単行本化のお話を伺いました。ブログ上には今のところ、書籍化決定の話題が載っていないので、ブログ名と著者名は伏せます。

 2冊ともおそらく趣は異なるのでしょうが、現在失われつつある、古きよき喫茶店を取り上げている点は同じだと自分は思います。
 このような形で少しずつ、喫茶店めぐりという道楽が世間様に認知されていくのは、これまで肩身狭かった喫茶ヲタの自分にはありがたいですねえ。2冊とも、立ち読みして面白かったら購入するので、楽しみにしています。

こちらの投稿の下書きがありました。結局アップしなかったはずですが、以下の通りです。

 そういう名前の喫茶店のことではありません。昔ながらの喫茶店に興味を持つ人口が一定層に達し、日本全国各地の純喫茶情報が商品価値あるものとして、あちこちに掲載されるようになってきた、という話題です。
 喫茶店だけではなく、昭和50、60年代はもとより、70、80年代の雰囲気を残す建築物、家具、電化製品、衣服、その時代の雑誌など、すべてにおいて言えるのでしょうが、ここでは喫茶店を例に挙げてみます。

 寛ぎや憩い、飲食、もの書き、もの思いに耽る、など、従来の目的以前に、喫茶店に行くことそのものを目的とする人たちのことを、喫茶店オタクと呼ぶべきか、純喫茶愛好家という肩書を名乗るべきか、名称はどうでもいいのですが、自分も含めたそういう人たちは、まぎれもなく、純喫茶ビジネスにおける消費者として対象になっているのです。
 まぁ、自分の場合、実際に情報にお金を遣っているという意識はほとんどないのですが。実際に消えていくお金は、交通費とコーヒー代、何より捻出しにくいのは時間です。

 都心やその外れ、あるいは地方都市、堂々とあるいはひっそりと店を構える知られざる名店を求め、その情報を誰かに漏らすこともなく、ひそかな楽しみとしている人たちがいたとします。彼らにとって、純喫茶ビジネスの普及は、自分だけの楽しみを暴かれたと嘆く人もいるでしょうし、仲間が増えたことを歓迎するのかもしれません。
 結局なにがいいたいのって、評価ではありません。ただひとつ言えるのは、ビジネスに関わる方々も、消費者の対象者もみなさん、焦っていること。喫茶店の多くは店主も常連客も高齢化が進み、土地再開発や建物老朽化の問題にさらされ、だんだんとその数を減らしているからです。今、やらなきゃ、と焦るのは当然です。

 しかし、時間をかけて作り上げられた個性豊かな喫茶店の数々に対し、たった数分間の会話と写真撮影とマッチのお土産もらって、いかにもわかったような気になっているのでは?と自分自身を振り返ることがあります。現在では決して再現不可能なデザインの建築物、常連客、長年にわたり商売を続けてこられた店主の方々。うわっつらだけ舐めてても、何かむなしいし、うすっぺらい感じがします。だからといって、時間もお金も限られていて、自分にはこのくらいしかできません。

 十年後、二十年後、こうしてお金や時間をかけてきたことがただの無駄遣いにならないよう、祈るばかりです。

 最後の一文、他者ではなく、自分で自分自身に祈るのかよ笑とセルフツッコミしたくなる拙い表現……。知らんがな。無駄遣いかどうかは自分が決めることだよ笑。ただ、全体的には当時(2013年)と現在(2020年)の気持ちはあまり変わりません。SNSやブログへの投稿については今も迷うところです。ハッシュタグにレトロ、純喫茶、昭和を付ければネットでの反応は良くなり、注目されやすい。けれど、安易にその単語を使うことは「消費」ではないか。喫茶店経営者にとっては必ずしもメリットはなく、自己満足を前提に、などと考えてしまい投稿を控えることも多くなりました。可否を決めるのは店主さんの側にあるのだから、店主さんにSNSへの投稿OKか尋ねればいいでしょ?違うんですよね、許可を取ればOKではなく、投稿後の反応が未知数だから迷うのです。念のため書いておきますが、これは私の迷いです。あなたや不特定多数への苦言ではありません。自分自身で納得したいのですが、その迷いが無駄であったとしても、投稿の際のさじ加減をどうするのか、やっぱり今でも迷います。
 

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