移動販売の大学堂

大学堂のアイスクリーム 東京都
大学堂の移動販売車

「ホットドッグと……アイスクリームと……お店です」で始まる気の抜けたような大学堂の歌を聞いたのは、東京に住んで間もない頃でした。黄色く塗られた車体にトレードマークの指をくわえたピンクのウサギの描かれた、遠くからでもよく目立つ移動販売車でした。
当時住んでいた江戸川区では駅前に大学堂の黄色い車が毎日定位置に停車して販売していたし、晴れた休日には江戸川の河川敷の前に停車して販売していたこともあってか、あまり珍しいとも思わなかったのですが、後々、大学堂はごくわずかな間しか停車しない移動販売車だということを知りました。週に1回、決まった場所・決まった時刻にやってきて「大学堂の歌」を流し、3分ほど停車している間に購入しなければ車は立ち去ってしまいます。移動販売車のルーティンを知らない人にとっては、なかなか買えない幻のお店だったようです(大学堂のサイトがあったので、ルートが掲載されていたかもしれませんが)。販売ルートから主に都内東部の地域民に馴染みのあった大学堂は2017年9月をもって移動販売を終了しました。

大学堂メニュー
アイスのフレーバーは10種類
大学堂ホットドッグ
レギュラードッグはカレー味のキャベツ入り

最後に大学堂を撮影したのは2017年春。その時点でホットドッグは300円~、アイスクリームはシングル330円。購入のタイミングが限られる移動販売と比べると、コンビニエンスストアの方が安いかな、ちょっと割高かな……と思いながら代金を払ったのを覚えています。10年前(2007年頃)だとホットドッグ、アイスクリームともに200円台で買えたので、材料費が高騰したのだと思います。2017年で創業50年とあり、公式サイトによれば創業は1966年。その頃はコンビニはなかったし、ホットドッグやアイスクリームは都心の繁華街の飲食店や遊園地など限られた場所でしか食べられないお洒落な都会の味だったのではないのかなあと想像します。しかし、公式サイトの取材記事を読むと、長い間停車できない移動販売であるからこそ、気を引きつつも近所迷惑にならない程度の音量で、独特のテーマソングを流しアピールしたのが成功したようです。

大学堂移動販売車2

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