かまくら型の喫茶店

鶴岡Big外観 東北地方

猛暑の夏、数年前に友人から教えてもらった鶴岡の喫茶店Bigを訪れた。鶴岡駅からは2キロ以上ある県道332号線沿いの店。汗が流れて止まらずペットボトルの水を1本消費してしまった。こんなに暑くなければいつまでも歩けるのにと思いながら、途中で渋々タクシーを拾った。

友人からドーム型の外観だと聞いていたので、遠くからでもよく目立つ外観だと思っていたが、県道332号線沿いにある飲食店の看板や店舗は派手なものが多く、やや埋もれるようにして白いドーム型の店舗は佇んでいた。午後2時過ぎ、ランチを楽しむ家族連れで店内は混雑している。店内には丸テーブルと肘置きのある籐椅子がゆったり配置され、天井からはモダンなペンダントライトが下がっている。訪れているお客さんの多くは内装を日常の風景として気にも留めず、ハンバーグやドリアなどボリュームあるメニューを食べて語らっていた。カウンター席とテーブル席には段差があり、その境界線部分に本棚が設置されている。少年向けコミック誌の他、20年くらいに流行った漫画や、かこさとしの絵本など、子どもから青少年向けの本や雑誌が多い。店を訪れる客層を表しているのだろうと思ったが、この時間はやや年配の男女が多かった。

鶴岡Big内装

鶴岡Big内装2

マスターに建物について伺うと、大阪万博の翌年(1971年)に建てられた店で、万博開催時、イタリアのパビリオンに着想を得て大成建設が作った既製品だという。店内には梁や柱がない。「どうやって作るかわかりますか?」とマスター。想像もつかずわかりませんと答えると、竹を編んで基礎を造り、そこへ風船を膨らませて特殊なコンクリートを流して固めたという。コンクリートが固まるまでに4日かかったそうだ。なるべく天候の穏やかな季節に作業したのだろうか。「コンクリートの耐性は50年、うちの店ももうすぐ50年になります」

マスターによれば店内の窓から見る冬場の雪景色がきれいだそうだ。今の真夏からは想像もつかないような真っ白な別世界か・・・。かまくらから見る雪景色、きれいだろうな、などと考えていると、カウンター席に座っていた老人がかき氷を食べながら「今年も冬は寒すぎ、夏は暑すぎて極端だね」とママに話す声が聞こえてきた。

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